医療現場で深刻化する課題とその対策
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉
- 4月5日
- 読了時間: 3分
更新日:7 日前

はじめに
日本の医療現場では、命を預かるという重要な使命のもと、多くの医療従事者が日々懸命に働いています。しかし、現場を取り巻く環境にはさまざまな課題が存在し、それが働く人々の負担や離職率の高さ、さらには医療の質の低下にもつながっています。本記事では、医療現場における主要な課題とその対策について解説します。
1. 人手不足
医師、看護師、介護士をはじめとした医療職は、慢性的な人手不足に悩まされています。特に地方や高齢化地域では人材確保が困難で、医療提供体制の維持が危ぶまれています。また、医療専門職は働き口がとにかく多いです。
対策:
働きやすい環境の整備による定着率の向上
外国人医療人材の受け入れ促進
業務の効率化による負担軽減
2. 過重労働と長時間勤務
夜勤、連続勤務、緊急対応などにより、医療従事者の労働時間は長時間化しています。これにより、過労による健康リスクや医療ミスの発生が懸念されています。
対策:
労働時間の適正管理
シフト制の見直し
業務の分担・役割の明確化
3. ハラスメント・職場環境の悪化
パワハラ、モラハラ、カスタマーハラスメント(患者からの暴言・暴力)など、医療現場でもハラスメントの問題が顕在化しています。これらは精神的ストレスや離職の原因になります。
対策:
ハラスメント防止の社内規定整備
相談窓口の設置と外部連携(社労士が外部の相談窓口となっている場合も多いです)
定期的な職場環境アンケートと改善活動
4. 待遇・評価の不公平感
責任の重さに対して給与が見合わないと感じる医療従事者も多く、モチベーションの低下や離職につながっています。
対策:
業務内容に応じた給与・手当の見直し(賞与で調整することをお勧めします)
キャリアラダー(成長指標)による評価制度の導入
定期的な評価とフィードバック
5. 感染症対応による負担
新型コロナウイルスの影響により、感染対策や対応業務が医療従事者に多大な負担をかけました。精神的なプレッシャーや感染リスクによる不安が大きな問題となっています。
対策:
感染症対応マニュアルの整備
衛生用品や装備の安定供給
感染症対応に特化した研修の実施
6. ICT化の遅れ
一部の医療機関では、電子カルテや勤怠管理などのシステム導入が進んでおらず、非効率な手作業が残っています。
※弊所では勤怠管理システムの導入支援をしております。
対策:
電子カルテ・予約システム・勤怠管理の導入
ITリテラシー向上のための研修
医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
7. 患者対応の多様化・複雑化
高齢化の進行により、複数の疾患を抱える患者や、認知症・精神疾患を持つ方への対応が求められています。また、外国人患者への対応なども増え、専門的なスキルが必要です。
対策:
多職種連携によるチーム医療の推進
専門研修やケーススタディの実施
地域医療・介護との連携強化
まとめ
医療現場で働く人々を取り巻く課題は多岐にわたり、ひとつひとつが医療の質や安全性にも大きく影響します。現場の声を拾い上げ、労働環境の改善や制度の整備、IT活用などを進めることで、より持続可能で安心できる医療体制を構築することが求められています。
病院、クリニック、歯科医院など医療業に強い社労士事務所は
MSL社会保険労務士事務所
社会保険労務士 綱島 渉

経歴
1989年 神奈川県生まれ
2013年 明治大学 理工学部 応用化学科 卒業
2013年 医療業界 人事部 入社
2023年 MSL社会保険労務士事務所 開業
約10年医療業界の人事部にて採用活動、人材定着プラン作成、労務トラブルの解決、就業規則の作成、労働、社会保険の手続き、給与計算業務に従事しておりました。
また、管理職も経験させていただきました。今まで、培った経験、専門知識、若さを活かし、お客様を全力でサポートさせていただきます。