看護師の夜勤手当とは?夜勤手当に割増賃金を含める条件とは?計算方法と相場を社労士が徹底解説!
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉
- 5月3日
- 読了時間: 6分

📚 目次
✅ 夜勤手当とは?
夜勤手当は、夜間勤務に対して支払われる追加の賃金です。労働基準法では、22時から翌5時までの勤務に対して、基本賃金の25%以上の深夜割増賃金を支払うことが定められています。
✅ 夜勤手当の支給条件
夜勤手当の支給条件は、勤務先の就業規則や労働契約によって異なります。一般的には、夜間の特定時間帯に勤務した場合や、一定の夜勤回数を超えた場合に支給されることが多いです。

✅ 夜勤手当の相場
日本看護協会の調査によると、看護師の夜勤手当の平均額は以下の通りです:
• 2交代制:11,368円
• 3交代制(準夜勤):4,234円
• 3交代制(深夜勤):5,199円
地域や施設によって金額は異なりますが、これらが全国平均の目安となります。
✅ 夜勤手当の計算方法
夜勤手当の計算方法は、基本給や勤務時間、深夜割増賃金の対象時間などを考慮して算出されます。例えば、基本給が24万円で月160時間勤務の場合、時給は1,500円となり、深夜割増賃金は375円(1,500円×0.25)です。深夜勤務時間が5時間の場合、深夜割増賃金は1,875円(375円×5時間)となります。
✅ 夜勤手当と深夜割増賃金の違い
夜勤手当は、夜間勤務に対する固定の手当であり、深夜割増賃金は法定の割増賃金です。多くの病院では、夜勤手当のみを支給しておりますが、施設によっては夜勤手当と深夜割増賃金の両方が支給されます。
✅ 夜勤手当の確認方法
求人情報や就業規則で夜勤手当の額や支給方法を確認しましょう。明記されていない場合は、基本給やその他の手当から推測することも可能です。

✅ 夜勤手当に深夜割増賃金を含める条件
労働基準法第37条第4項では、午後10時から午前5時までの深夜労働に対して、通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。
企業が支給する夜勤手当が、この法定の深夜割増賃金としての要件を満たす場合、別途深夜割増賃金を支払う必要はありません。具体的には、夜勤手当が以下の条件を満たす必要があります:
• 深夜労働時間帯(午後10時~午前5時)に対する手当であること
• 通常の賃金の25%以上の割増率で計算されていること
• 就業規則や労働契約書に明確に記載されていること
これらの条件を満たしていれば、夜勤手当は深夜割増賃金として認められます。ただし、夜勤手当が一律の定額で支給されている場合、従業員の基本給によっては法定の25%割増に満たない可能性があるため、注意が必要です。そのため、夜勤手当の設定時や従業員の給与改定時には、各従業員の賃金に応じて適切な割増率が適用されているかを確認することが重要です。
⚠️ 実務上の注意点
• 就業規則の明確化
夜勤手当の支給条件や金額、計算方法について、就業規則や労働契約書に明確に記載し、従業員に周知することが重要です。
• 賃金の個別確認
夜勤手当が一律支給の場合、従業員ごとの基本給に応じて、法定の割増率を満たしているかを個別に確認する必要があります。
• 労働時間の管理
深夜労働時間帯の労働時間を正確に把握し、適切な割増賃金が支払われているかを確認することが求められます。
✅ 夜勤手当に関する注意点
• 夜勤手当の支給額や条件は、勤務先によって大きく異なります。
• 深夜割増賃金が適切に支払われているか確認することが重要です。
• 夜勤専従などで夜勤手当が基本給に含まれている場合もあるため、給与明細をよく確認しましょう。
✅ まとめ
看護師の夜勤手当は、勤務形態や施設によって異なりますが、深夜割増賃金と合わせて適切に支払われるべきです。給与明細や就業規則を確認し、不明点があれば勤務先に問い合わせることをおすすめします。

🩺 医療特化社労士による解説:看護師の夜勤手当の法的留意点と実務対応
✅ 夜勤手当の法的性質と深夜割増賃金との違い
夜勤手当は、通常、夜間勤務に対する追加の賃金として支給されますが、法的には「深夜割増賃金」とは異なります。深夜割増賃金は、労働基準法第37条に基づき、午後10時から午前5時までの労働に対して、通常の賃金の25%以上の割増で支払うことが義務付けられています。
一方、夜勤手当は、企業や医療機関が任意で定める手当であり、法的な支給義務はありません。ただし、実務上は、看護師の負担軽減や人材確保の観点から、多くの医療機関で夜勤手当が支給されています。
✅ 夜勤手当の支給方法と計算基礎
夜勤手当の支給方法は、医療機関の就業規則や労働契約によって異なります。一般的には、夜勤1回あたりの定額で支給されるケースが多く、2交代制では約11,000円、3交代制の準夜勤で約4,000円、深夜勤で約5,000円が平均的な金額とされています 。
また、夜勤手当が割増賃金の算定基礎に含まれるか否かは、手当の性質によって判断されます。労働基準法第37条第5項に基づき、通常の労働時間・労働日の賃金に含まれない手当(例:家族手当、通勤手当など)は、割増賃金の算定基礎から除外できます。基本的には夜勤手当がこれらの手当に該当するため、割増賃金の算定基礎から除外することが可能です 。
✅ 実務上の留意点と労務管理
• 就業規則の明確化
夜勤手当の支給条件や金額、支給方法について、就業規則や労働契約書に明確に記載することが重要です。これにより、労使間のトラブルを未然に防ぐことができます。
• 労働時間の適正管理
夜勤勤務は、労働者の健康や安全に影響を及ぼす可能性があるため、労働時間の適正な管理が求められます。特に、連続勤務や過重労働にならないよう、シフト管理を徹底する必要があります。
• 法令遵守の徹底
深夜割増賃金の支払いを怠ると、労働基準法違反となり、行政指導や罰則の対象となる可能性があります。また、夜勤手当の支給方法が不適切な場合、労使間の信頼関係に影響を及ぼすことも考えられます。
✅ 社労士からのアドバイス
医療機関における夜勤手当の適正な運用は、看護師の労働環境の改善や人材確保に直結します。社労士としては、以下の点を重視してアドバイスを行っています。
• 割増賃金ではなく夜勤手当で支給
どうしても割増賃金、夜勤手当両方支給すると給与計算が煩雑になってしまい、ミスが増えてしまいます。よって私個人としては夜勤手当として支給する方が、わかりやすくて良いかと思います。
• 制度設計の見直し
夜勤手当の支給基準や金額が現状に即しているかを定期的に見直し、必要に応じて改定を行うこと。
• 労働時間管理の強化
夜勤勤務者の労働時間を適切に管理し、過重労働を防止する体制を整備すること。
• 従業員とのコミュニケーション
夜勤手当や勤務条件について、従業員と定期的に意見交換を行い、現場の声を反映させること。
これらの取り組みにより、医療機関の労務管理の適正化と、看護師の働きやすい職場環境の実現を目指すことが可能です。
MSL社会保険労務士事務所では、医療機関向けに特化した労務サポートを提供しています。