【社労士が解説】失業手当(基本手当)とは?受給条件・金額・期間・申請方法
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉
- 9月10日
- 読了時間: 5分
更新日:9月16日

✅ 目次
✅ 1. 失業手当とは?
離職後の生活を支えつつ再就職を支援することを目的に、雇用保険から支給される「基本手当」。定年、倒産、契約満了など幅広いケースが対象です。
失業手当と言われることが多いですが、正式名称は「基本手当」になります。
✅ 2. 受給資格と対象者
2.1 一般受給資格者
離職前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上ある方が対象。ハローワークでの求職申込み、就職意思・就労能力が条件。
2.2 特定受給資格者・特定理由離職者とは
倒産・解雇などやむを得ない事情による離職者は被保険者期間が6ヶ月以上で受給可能。教育訓練や所定給付日数も有利になります。
✅ 3. 支給期間(所定給付日数)の目安
• 一般受給資格者(就職困難者):90日~360日(年齢・被保険期間・離職理由による)
• 特定受給資格者等:より長期間(最大360日)支給されるケースあり
・一般受給者
被保険者期間 | 受給日数(全年齢共通) |
10年未満 | 90日 |
10年以上20年未満 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
※特定理由離職者については、被保険者期間が6か月(離職以前1年間)以上あれば基本手当の受給資格を得ることができます。
・就職困難者
1年未満 | 1年以上 | |
45歳未満 | 150日 | 300日 |
45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
・特定受給資格者及び一部の特定理由離職者
年齢 | 被保険者期間 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
29歳以下 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
30〜34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35〜44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45〜59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60〜64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
※特定理由離職者のうち「特定理由離職者の範囲」の1に該当する方については、受給資格に係る離職の日が2009年3月31日から2027年3月31日までの間にある方に限り、所定給付日数が特定受給資格者と同様となります。
✅ 特定受給資格者とは?
会社都合など、自己の責めに帰さない理由で離職したとハローワークが認定した人。
失業給付の給付制限(通常2ヶ月)がなく、手厚い支援を受けられます。
主なケース
◉ 会社の都合での離職
会社が倒産、廃業した
事業縮小で大量離職(1ヶ月に30人以上)
事業所が移転して通勤困難になった
会社が解雇(重い自己都合以外)
◉ 働く条件が著しく悪化
労働条件が事前説明と著しく異なる
賃金が大幅に未払い・大幅減額
月80時間以上の残業が常態化
妊娠・育児・介護に対する不当な扱い
パワハラ・セクハラなどが原因
退職勧奨(リストラ)
◉ 契約更新拒否(特定条件あり)
有期契約で3年以上働いた後の更新拒否
明示的に更新ありとされていたが拒否された
✅ 特定理由離職者とは?
自己都合退職だけれど、やむを得ない正当な理由があると認定された人。
給付制限はあるが、就職支援などは手厚くなります。
主なケース
◉ 契約更新がなかった
契約更新を希望したのに不更新だった(更新が確約されていない有期契約)
◉ 正当な自己都合
病気・けが・妊娠・出産・育児による退職
家族の介護・看護が必要になった
家庭の事情(親の死亡や急変など)
結婚や配偶者の転勤で引っ越しが必要
通勤困難(交通機関の廃止、遠方への転勤命令など)
企業側の整理退職で応じた(ただし勧奨でない場合)
🔍 特定受給資格者と特定理由離職者の違いまとめ
項目 | 特定受給資格者 | 特定理由離職者 |
離職理由 | 会社都合など | やむを得ない自己都合 |
給付制限 | なし | 原則あり(2ヶ月)※状況により免除も |
求職活動の支援 | 手厚い | やや優遇 |
早期の給付 | ○ | △(制限あり) |
✅ 4. 失業手当の金額の計算方法
• 賃金日額:離職前6ヶ月の給与合計 ÷ 180日
• 基本手当日額:賃金日額の約50〜80%(60歳~64歳については45~80%)
※賃金の額が低い方ほど高い率になっています。
年齢 | 上限額 |
30歳未満 | 7,065円 |
30歳以上45歳未満 | 7,845円 |
45歳以上60歳未満 | 8,635円 |
60歳以上65歳未満 | 7,420円 |
✅ 5. 再就職支援と付随する手当
5.1 職業訓練受講手当・通所手当
公共職業訓練受講時に日額500円+通所交通費支給。
5.2 技能習得手当・寄宿手当
訓練受講日には500円支給。必要に応じ月42,500円まで交通費や10,700円の寄宿手当。
5.3 傷病手当・高年齢求職者給付金・特例一時金
病気等で求職できないときや高年齢・短期雇用者向けの特別給付も用意。
✅ 6. 受給手続きの流れと必要書類
1. 離職後すぐにハローワークで求職申込み
2. 受給資格決定後、失業認定日に出席
3. 必要書類:離職票、雇用保険被保険者証、身分証明書等
✅ 7. 受給期間の延長と注意事項
妊娠・出産・病気・育児等で30日以上就職できない場合、最長3年間延長可能。延長申請は条件に応じて早めに。
✅ 8. 不正受給のリスクとペナルティ
故意・虚偽申告は重いペナルティの対象に。虚偽給付の返還や刑罰、信頼失墜の可能性があるため、正確な申告が必須。
✅ 9. まとめと活用のポイント
• 早期再就職を支える安心制度
• 条件に応じて支給期間・手当が有利に
• スムーズな手続きと適切な情報提供が重要
病院、クリニック、歯科医院など医療業に強い医療専門の社労士事務所は
MSL社会保険労務士事務所
社会保険労務士 綱島 渉

経歴
1989年 神奈川県生まれ
2013年 明治大学 理工学部 応用化学科 卒業
2013年 医療業界 人事部 入社
2023年 MSL社会保険労務士事務所 開業
約10年医療業界の人事部にて採用活動、人材定着プラン作成、労務トラブルの解決、就業規則の作成、労働、社会保険の手続き、給与計算業務に従事しておりました。
また、管理職も経験させていただきました。今まで、培った経験、専門知識、若さを活かし、お客様を全力でサポートさせていただきます。








