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過払い賃金の控除はできる?労使協定と本人同意の必要性を社労士がわかりやすく解説

更新日:7 日前


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✅「給与を払いすぎてしまった!」その時どうする?


給与計算ミスなどで、社員に本来より多い金額を支払ってしまうことは、どの職場でも起こり得ます。

この「過払い賃金」を次回の給与から差し引きたいと思っても、勝手に控除するのはNGの可能性があります。


では、どうすれば合法的に対応できるのでしょうか?

今回は、社労士が【過払い賃金の控除の可否とその手続き】について解説します。



✅ 賃金の控除には「原則」と「例外」がある


労働基準法第24条では、次のように定められています:


賃金は全額を、本人に直接支払わなければならない。

つまり、労働者の同意なしに会社が給与から控除するのは基本NGです。


◾ 労使協定があれば控除できる項目(一例)

項目

労使協定で認められやすい控除

社宅・寮の家賃

社宅制度に基づく負担金

食費・光熱費

社員食堂や光熱費など

制服代・備品代

事前同意があればOK

親睦会費・共済会費

任意加入が原則

社会保険任意継続費

退職者の保険料を一時立替した場合など

これらは、事前に労使協定を締結していれば控除が可能です。



❌ 過払い賃金の控除は労使協定では足りない!


結論として、「過払い賃金」の控除は、労使協定だけでは難しい。


なぜなら、労使協定には、全額払いの原則違反による罰則を免れるという免罰的効果を超えて、控除を労働者に甘受させる私法上の効果はないので、労働協約や就業規則に控除の根拠規定を設けるか(労働組合法16条、労働契約法7条、10条)、当該労働者の同意を得る(労働契約法8条)ことも必要になります。


✅本人の経済生活の安定を害さない場合の例外


 労使協定がない場合でも、賃金過払い分については、控除(相殺)の「時期、方法、金額等」からみて「労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合」には、後に支払われる賃金から控除(相殺)することができるものと解されいます(福島県教組事件・最一小判昭44・12・18民集23巻12号2495頁)。具体的には、控除が「過払いのあった時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、また、あらかじめ労働者にそのことが告知されるとか、その額が多額にわたらない」ような場合です(前掲福島県教組事件)。結局、ケースバイケースで決することになるでしょう。


✅ トラブルが生じにくい対応は「本人の個別同意」を得ること


過払い賃金を控除するには、本人から書面による明確な同意を得る必要があります。一般的に給与から天引きされているケースが多いですが、必ず同意を得てください。


▶ 返還同意書に盛り込むべき内容

• 控除する金額と理由

• 控除の時期や方法(例:分割・一括)

• 本人の署名・押印(または電子署名)



⚠ 裁判例や行政の判断はどうなっている?

• 一方的な控除や相殺は、「違法」と判断された例も多い

• 労基署の調査でも「本人同意なしの控除」は厳しく指導される傾向


過払い分を取り戻したいなら、あくまで「本人同意」がカギです。



👀 もし本人が返還に同意しない場合は?

• 話し合いによる解決が最優先

• どうしても返還に応じない場合は、民事訴訟など法的手続きを検討





💬 社労士からのワンポイントアドバイス


「労使協定があるから控除できる」と思い込むのは非常に危険です。

個別の同意書+丁寧な説明を行い、トラブルのない対応を心がけましょう。


📩 まずは無料相談からどうぞ


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そんなときは、初回無料で内容チェックも可能です。




病院、クリニック、歯科医院など医療業に強い社労士事務所は

MSL社会保険労務士事務所






社会保険労務士 綱島 渉



経歴

1989年 神奈川県生まれ

2013年 明治大学 理工学部 応用化学科 卒業

2013年 医療業界 人事部 入社

2023年 MSL社会保険労務士事務所 開業


約10年医療業界の人事部にて採用活動、人材定着プラン作成、労務トラブルの解決、就業規則の作成、労働、社会保険の手続き、給与計算業務に従事しておりました。

また、管理職も経験させていただきました。今まで、培った経験、専門知識、若さを活かし、お客様を全力でサポートさせていただきます。



 
 

MSL社会保険労務士事務所

〒243-0201 神奈川県厚木市上荻野2274-3

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