労働条件通知書とは?トラブルを防ぐための書き方・ポイントを社労士が解説!
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉
- 4月8日
- 読了時間: 4分
更新日:7 日前

✅ 労働条件通知書とは?
労働条件通知書とは、労働者を雇う際に、会社が労働条件を明示するための法定書類です。労働基準法第15条により、雇用時に書面で労働条件を明示することが義務付けられています。口頭だけの説明では不十分で、後のトラブルの原因になるため、しっかり文書化することが必要です。(※電子化も可能です)。
✅ 労働条件通知書の法定記載事項
以下の項目は、必ず書面で明示することが法律で義務付けられている項目です(※電子化も可能です)。
(1)労働契約の期間に関する事項
(2)期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
(3)就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
(4)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
(5)賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(6)退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
(7)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
(8)臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
(9)労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
(10)安全及び衛生に関する事項
(11)職業訓練に関する事項
(12)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(13)表彰及び制裁に関する事項
(14)休職に関する事項
※(1)(2)については期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合がある者の締結に限り、明示する必要があります。 また、(7)から(14)については使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、明示する必要はありません。(※2)労働者が希望した場合は、FAXやWebメールサービス等の方法で明示することもできます。ただし、書面として出力できるものに限られます。
出典 厚生労働省HP
✅ よくある誤解・ミス
❌ 雇用契約書があれば通知書はいらない?
→ 必要です。雇用契約書と労働条件通知書は内容が重なりますが、法的には別の文書です。
雇用契約書の作成は法律上の義務ではありません。ただし、後々トラブルになることも多いため、労働条件通知書兼雇用契約書を発行し、2部署名捺印し、労使双方で保管することがいいでしょう。
❌ 労働条件はあとから変更してもいい?
→ 原則として労働者との合意が必要。勝手な変更は違法になる場合があります。
❌ アルバイト・パートには出していない
→ パートでも正社員と同様に通知書は必須。
✅ 実務で役立つポイント
✔ 電子化・クラウド管理の活用
2021年の法改正で、労働者が同意すればPDF等での交付も可能。紙にこだわる必要はありません。
✔ 雇用形態ごとのテンプレートを整備
正社員・契約社員・パートなどで、通知書をひな形で使い分けると効率的です。
✔ 雇用前の「口約束」は記録を残す
面接や内定時に話した内容も、可能な限り記載。「言った・言わない」問題を防げます。
✅ 社労士からのアドバイス
労働条件通知書は、“会社と労働者の約束”を明文化する大切なツールです。小規模事業者ほど整備が遅れがちですが、万が一トラブルが起きた場合、通知書がないことで会社側が不利になることもあります。
実務の現場では、「書いてあるのに読んでない」「説明されていないと言われた」など、通知書の内容と実態がかけ離れているケースが多く見られます。契約時にしっかり説明し、同意を得るプロセスこそが最も重要です。私個人の意見としては労働条件通知書兼雇用契約書を発行をオススメいたします。
病院、クリニック、歯科医院など医療業に強い社労士事務所は
MSL社会保険労務士事務所
社会保険労務士 綱島 渉

経歴
1989年 神奈川県生まれ
2013年 明治大学 理工学部 応用化学科 卒業
2013年 医療業界 人事部 入社
2023年 MSL社会保険労務士事務所 開業
約10年医療業界の人事部にて採用活動、人材定着プラン作成、労務トラブルの解決、就業規則の作成、労働、社会保険の手続き、給与計算業務に従事しておりました。
また、管理職も経験させていただきました。今まで、培った経験、専門知識、若さを活かし、お客様を全力でサポートさせていただきます。