育児・介護休業法の改正【令和7年4月施行】主な改正点を社労士が解説
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉
- 2024年3月8日
- 読了時間: 5分
更新日:7月2日

2025年4月と10月に施行される育児・介護休業法の改正は、仕事と育児・介護の両立を支援し、働きやすい職場環境を整備することを目的としています。企業にとっては、就業規則の見直しや社内制度の整備が求められる重要な改正です。
📌 目次
1. 改正の背景と目的
4. 企業が取るべき対応策
5. まとめ
📝 1. 改正の背景と目的
少子高齢化が進む中、育児や介護と仕事を両立できる環境の整備が社会的課題となっています。今回の改正は、労働者が安心して働き続けられるよう、育児・介護休業制度の充実を図ることを目的としています。
🧾 2. 2025年4月施行の主な改正ポイント
📍 2.1 子の看護休暇の対象拡大
これまで小学校就学前までだった子の看護休暇の対象が、小学校3年生修了までに拡大されます。また、子の看護等休暇へ名称が変更となり、卒園式等もお休みを取れるようになりました。これにより、より多くの保護者が子の看護等休暇を取得しやすくなります。
🔁 2.2 所定外労働の制限対象の拡大
3歳未満の子を養育する労働者に限定されていた所定外労働の制限(残業免除)の対象が、小学校就学前までの子を養育する労働者に拡大されます。
💼 2.3 育児休業取得状況の公表義務の拡大
従業員数1,000人超の企業に義務付けられていた育児休業取得状況の公表が、従業員数300人超の企業にも拡大されます。企業は年1回、男性の育児休業等の取得率を公表する必要があります。
🏠 2.4 テレワークの推進
3歳未満の子を養育する労働者に対して、短時間勤務制度の代替措置としてテレワークの導入が努力義務化されます。これにより、柔軟な働き方の選択肢が広がります。
🔄 3. 2025年10月施行の主な改正ポイント
📣 3.1 個別の意向聴取と配慮の義務化
育児や介護を行う労働者に対して、企業は個別に意向を聴取し、必要な配慮を行うことが義務付けられます。これにより、労働者一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応が求められます。
🧩 3.2 柔軟な働き方を実現するための措置の義務化
企業は、労働者が育児や介護と仕事を両立できるよう、以下の5つの措置の中から2つ以上を選択し、労働者がその中から1つを選んで利用できるようにする必要があります。
1. 始業・終業時刻の変更
労働者の希望に応じて、始業・終業時刻を柔軟に設定できる制度。
2. テレワークの導入
月10日以上、原則として時間単位で利用可能な在宅勤務制度。
3. 保育施設の設置・運営
企業内または近隣に保育施設を設置・運営し、労働者の子育てを支援。
4. 養育両立支援休暇の付与
年10日以上、原則として時間単位で取得可能な休暇制度。
5. 短時間勤務制度の導入
労働時間を短縮し、育児と仕事の両立を支援する制度。
これらの措置は、労働者がフルタイム勤務を希望する場合でも、柔軟に対応できるよう設計されています。
🏢 4. 企業が取るべき対応策
• 就業規則の見直し:改正内容を反映した就業規則の整備が必要です。
• 社内制度の整備:テレワーク制度やフレックスタイム制度の導入・拡充を検討しましょう。
• 従業員への周知・教育:改正内容について、従業員への周知や管理職への研修を実施しましょう。
• 育児休業取得状況の公表準備:対象企業は、育児休業取得状況の集計・公表の準備を進めましょう。
✅ 5. まとめ
2025年の育児・介護休業法改正は、労働者が育児や介護と仕事を両立しやすい環境を整備することを目的としています。企業は、改正内容を正しく理解し、必要な対応を早めに進めることが求められます。これにより、従業員の働きやすさが向上し、企業の生産性やイメージの向上にもつながるでしょう。
👨⚖️ 社労士の見解:制度の整備と運用の両輪が成功の鍵
2025年10月施行の育児・介護休業法改正により、企業には「柔軟な働き方を実現するための措置」の導入が義務付けられます。この改正は、育児と仕事の両立を支援し、働きやすい職場環境を整備することを目的としています。
しかし、制度を導入するだけでは不十分であり、実際に運用され、労働者が安心して利用できる環境を整えることが重要です。例えば、制度の内容を従業員に周知し、利用方法や手続きを明確にすることが求められます。
また、制度の導入にあたっては、過半数労働組合または労働者の過半数を代表する者からの意見聴取が必要となります。これにより、労働者のニーズを把握し、実情に即した制度設計が可能となります。
さらに、制度の利用促進には、管理職や同僚への研修を実施し、制度の目的や運用方法を周知徹底することが効果的です。これにより、労働者の心理的負担を軽減し、制度を利用しやすい職場環境を整えることができます。
社労士としては、企業が制度の整備と運用の両面から取り組むことを推奨します。これにより、従業員の働きやすさが向上し、企業の生産性やイメージの向上にもつながるでしょう。
病院、クリニック、歯科医院など医療業に強い社労士事務所は
MSL社会保険労務士事務所
社会保険労務士 綱島 渉

経歴
1989年 神奈川県生まれ
2013年 明治大学 理工学部 応用化学科 卒業
2013年 医療業界 人事部 入社
2023年 MSL社会保険労務士事務所 開業
約10年医療業界の人事部にて採用活動、人材定着プラン作成、労務トラブルの解決、就業規則の作成、労働、社会保険の手続き、給与計算業務に従事しておりました。
また、管理職も経験させていただきました。今まで、培った経験、専門知識、若さを活かし、お客様を全力でサポートさせていただきます。