高年齢雇用継続給付金の縮小について【令和7年4月施行】
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉
- 2024年3月18日
- 読了時間: 3分
更新日:7月2日

2025年4月1日より、高年齢雇用継続給付の支給率が最大15%から10%へと引き下げられました。この改正は、60歳以降も働き続ける高年齢労働者や企業の人事・労務担当者にとって、雇用や賃金に関する対応が求められます。以下に、改正の概要と影響、企業が取るべき対応策について解説します。
目次
1. 高年齢雇用継続給付とは
3. 改正による影響
4. 企業が取るべき対応策
5. まとめ
1. 高年齢雇用継続給付とは
高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満の雇用保険一般被保険者が、60歳到達時点よりも賃金が75%未満に低下した場合に、就業継続を支援するための給付金制度です。この制度は、高年齢者の就業意欲を維持・喚起し、65歳までの雇用の継続を援助・促進することを目的としています。
2. 2025年4月からの改正内容
2025年4月1日以降、以下のように支給率が変更されました:
• 2025年3月31日以前に60歳に達した方:各月に支払われた賃金の15%を限度として支給。
• 2025年4月1日以降に60歳に達した方:各月に支払われた賃金の10%を限度として支給。
また、賃金の低下率に応じて支給率が変動する仕組みも見直され、賃金の低下率が64%以下の場合に最大10%の支給率が適用されます。64%超75%未満の場合は、賃金と給付額の合計が75%を超えない範囲で支給率が設定されます。
3. 改正による影響
労働者への影響
支給率の引き下げにより、60歳以降の収入が減少する可能性があります。特に、定年後の再雇用で賃金が大幅に下がる場合、生活設計に影響を及ぼすことが考えられます。
企業への影響
高年齢労働者の就業意欲の低下や、再雇用制度の見直しが求められる可能性があります。また、賃金体系や人事制度の再検討が必要となる場合もあります。
4. 企業が取るべき対応策
賃金制度の見直し
高年齢労働者の生活を支えるため、再雇用時の賃金水準の見直しや、職務内容に応じた適正な評価制度の導入が求められます。
助成金の活用
「高年齢労働者処遇改善促進助成金」など、政府が提供する助成金制度を活用し、高年齢労働者の処遇改善を図ることができます。
社内周知と相談体制の整備
制度改正に関する情報を社内で周知し、高年齢労働者からの相談に対応できる体制を整えることが重要です。
5. まとめ
2025年4月からの高年齢雇用継続給付の支給率引き下げは、高年齢労働者の生活や企業の人事戦略に大きな影響を与える可能性があります。企業は、賃金制度の見直しや助成金の活用、社内体制の整備を通じて、円滑な対応を図ることが求められます。労働者も、自身のライフプランを見直し、必要に応じて社労士等専門家に相談するなど、積極的な対応が重要です。
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MSL社会保険労務士事務所
社会保険労務士 綱島 渉

経歴
1989年 神奈川県生まれ
2013年 明治大学 理工学部 応用化学科 卒業
2013年 医療業界 人事部 入社
2023年 MSL社会保険労務士事務所 開業
約10年医療業界の人事部にて採用活動、人材定着プラン作成、労務トラブルの解決、就業規則の作成、労働、社会保険の手続き、給与計算業務に従事しておりました。
また、管理職も経験させていただきました。今まで、培った経験、専門知識、若さを活かし、お客様を全力でサポートさせていただきます。