【2025年10月施行】育児・介護休業法改正のポイントと企業の対応義務とは
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉

- 7月16日
- 読了時間: 4分
更新日:9月16日

2025年(令和7年)10月1日から、改正育児・介護休業法が施行されます。本改正は、特に3歳以降の子どもを養育する労働者に向けた「柔軟な働き方の実現」を主な目的としています。企業には就業規則の見直しや新たな制度整備が求められ、育児支援のあり方に大きな転換が起きる内容です。
✅ 目次
✅ 3歳〜小学校就学前の子を養育する労働者への柔軟な働き方の支援【義務】
■ 企業に課される義務(措置の実施)
企業は、3歳から小学校就学前の子どもを養育する従業員に対して、以下の5つの支援措置の中から2つ以上を選択して実施しなければなりません。
※措置の選定にあたっては、過半数労働組合または従業員代表の意見聴取が義務付けられています。
※労働者は、企業が用意した措置の中から1つを選んで利用することができます。
✅ 社労士視点で企業が導入しやすい措置は?
結論:①、④、⑤などは無理せず導入が可能だと考えます。
②については病院、クリニック、歯科医院などの医療機関などで不可能でしょうし、③の保育施設の設置などは当然相当な時間もお金もかかります。
※④を導入した場合、有給にするか無給にするかは事業主が決めることができます。
✅ 3歳未満の子を育てる労働者への「個別の周知・意向確認」【義務】
柔軟な働き方制度を形だけにしないため、企業には以下のタイミングでの「個別の周知・意向確認」が義務化されます。
■ 対象者
3歳未満の子を養育する労働者
■ 実施時期
子どもが1歳11か月から2歳11か月に達するまでの期間
■ 周知・確認の内容
自社が実施している柔軟な働き方制度の内容(2つ以上)
申出先(例:人事部など)
残業免除、深夜業制限などの制度
■ 方法
面談(オンライン含む)
書面交付
FAX(希望時)
電子メール(希望時)
※制度の利用を控えさせるような周知・確認は禁止されます。
✅ 妊娠・出産・子どもが3歳になる前の「意向聴取と配慮」【義務】
労働者の家庭状況に即した就労支援のため、以下の場面で個別の意向聴取と配慮が義務づけられます。
■ 意向聴取のタイミング
妊娠・出産の申出時(本人・配偶者)
子が3歳の誕生日の1ヶ月前までの1年間
育休復帰時や本人からの申出があった場合(望ましい)
■ 聴取内容
勤務時間帯・勤務地
両立支援制度の利用希望
業務量・労働条件の希望など
■ 具体的な配慮の例
勤務地や時間の変更
業務内容や量の調整
制度利用期間の延長
✅ 就業規則・社内制度の見直しが必要に
この改正により、以下の社内制度の整備・明文化が必須です。
柔軟な働き方措置の新設または改定
個別周知・意向確認の運用フローの明確化
意見聴取の記録・社内報告体制の構築
該当従業員向けのマニュアル・申請書式の整備
✅ 助成金の活用も検討を
厚生労働省は、制度導入に前向きに取り組む企業を対象に「両立支援等助成金」を支給しています。2025年度は今回の法改正に対応した新たな助成内容への変更も予定されています。
✅ まとめ
2025年10月施行の改正は、従来の「制度整備」から一歩進んで、「個別対応・柔軟対応」を企業に求める内容です。特に3歳以降の育児支援が義務化される点で、多くの企業にとって制度改正と職場文化の見直しが急務です。
✅ 社労士によるサポートを希望される場合は、お気軽にご相談ください。
病院、クリニック、歯科医院など医療業に強い医療専門の社労士事務所は
MSL社会保険労務士事務所
社会保険労務士 綱島 渉

経歴
1989年 神奈川県生まれ
2013年 明治大学 理工学部 応用化学科 卒業
2013年 医療業界 人事部 入社
2023年 MSL社会保険労務士事務所 開業
約10年医療業界の人事部にて採用活動、人材定着プラン作成、労務トラブルの解決、就業規則の作成、労働、社会保険の手続き、給与計算業務に従事しておりました。
また、管理職も経験させていただきました。今まで、培った経験、専門知識、若さを活かし、お客様を全力でサポートさせていただきます。











