【医療機関向け】算定基礎届とは?提出方法・注意点を社労士が解説
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉
- 6月2日
- 読了時間: 4分

✅ 目次
✅ 算定基礎届とは?
算定基礎届(定時決定)とは、社会保険(健康保険・厚生年金)の標準報酬月額を決定するための届出です。
対象:7月1日時点で在籍するすべての被保険者、70歳以上の被用者
提出先:日本年金機構(年金事務所)または健康保険組合
提出時期:毎年 7月1日~10日まで
これに基づき、9月から翌年8月までの保険料額が決まります。
※一般的な事業所では社会保険料を翌月徴収しているため、実際の給与の反映は10月からとなります。ただし、当月徴収している事業所では9月給与から反映させます。
※70歳以上で健康保険、75歳以上で厚生年金の資格を喪失しますが、75歳以上の方でも算定基礎届の提出が必要となります。
✅ 算定基礎届の対象となる従業員
常勤の職員
パート・非常勤(社会保険に加入している人)
✅ 算定基礎届の対象とならない従業員
6月1日以降に被保険者になった人
6月30日以前に退職した人
7月に月額変更届を提出する必要がある人
✅ 提出時期と対象期間
区分 | 内容 |
対象期間 | 4月・5月・6月の3か月間の支給実績 |
提出期限 | 毎年 7月10日まで |
新しい保険料適用 | 同年9月から翌年8月まで |
※一般的な事業所では社会保険料を翌月徴収しているため、実際の給与の反映は10月からとなります。ただし、当月徴収している事業所では9月給与から反映させます。
✅ 算定基礎届の記載内容と計算方法
記入例
記載内容
被保険者番号、氏名、生年月日、適用年月、従前標準報酬月額、従前改定月、昇(降)給、遡及支払額
4~6月の支払基礎日数、各月支給額(通勤手当含む)
総計、平均額
平均報酬月額
※支払い基礎日数とは日給月給制(欠勤したら給与から控除される)で欠勤がない場合は歴日数で問題ありません。
例 3/16〜4/15 の給与を4/25に支払う場合は31日
例 3月末締め4月払いの場合は31日
※17日未満の場合は合計、平均額には含めない。
計算例:
4月:270,000円
5月:280,000円
6月:290,000円
⇒ 合計840,000円 ÷ 3 = 280,000円
⇒ 該当する等級表から「標準報酬月額:280,000円」を適用
欠勤があった場合
日給月給制の場合は所定労働日数から欠勤日数を引いた日数を記入します。
✅ パート職員の場合
週の所定労働時間および月の所定労働日数が正社員の4分の3以上である短時間就労者の場合、支払基礎日数には実際の勤務日数を記入します。
また、短時間勤務であることを示すため、備考欄の「7.パート」に〇をつけます。支払基礎日数が17日以上の月が1ヶ月でもある場合も、その月は算定対象月となるため、同様に「7.パート」に〇を記入してください。
一方、すべての月で支払基礎日数が17日未満の場合は、15日以上の月が算定対象月です。その場合も「7.パート」に〇をつけます。
支払基礎日数がすべて15日未満の場合は、従前の標準報酬月額が使用されます。
✅ 短時間労働者の場合(特定適用事業所に勤務)
短時間労働者の方は、4月、5月、6月の3ヶ月間の支払基礎日数が11日以上である月を算定の対象月とし、対象月の報酬月額の平均により算定します。また、備考欄の「6.短時間労働者」に〇をつけます。
短時間労働者とは下記の要件を満たした方となります。
特定適用事業所、任意特定適用事業所に使用されていること
1週間の所定労働時間が20時間以上であること
同一の事業所に継続して2ヶ月以上使用されることが見込まれること
報酬(最低賃金法で賃金に算入しないものに相当するものを除く。)の月額が8万8千円以上であること
学生でないこと
✅ 医療業界での注意点
パート職員が多いため、要件を満たすか事前確認が必要(週20時間・月88,000円など)
✅ 電子申請での提出方法
日本年金機構の「届出作成プログラム」や「e-Gov」を使えば、紙提出不要で控えも自動作成されます。
※「GビズID」の取得が事前に必要です。
✅ 社労士に依頼するメリット
記載漏れ・誤記載のリスクを防止
医療業界特有の報酬構造(交代勤務・資格手当など)に詳しい
電子申請によるスムーズな手続きも代行可能
慣れない手続きによるストレスからの解放
✅ まとめ
算定基礎届は、9月以降の保険料を決定する重要な手続きです
医療機関では、非常勤職員や手当の取り扱いに要注意
ご不安な場合は、社労士に早めにご相談ください
MSL社会保険労務士事務所では、医療機関向けに特化した労務サポートを提供しています。