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【社労士が解説】医療機関における「宿日直許可」とは?~労基署申請の必要性と注意点~


【社労士が解説】医療機関における「宿日直許可」とは?~労基署申請の必要性と注意点に関するコラムのサムネイル画像


✅ 目次






✅ はじめに


夜間の入院患者対応や、休日の待機体制を目的とした**「宿直・日直勤務」**は、医療機関ではごく一般的な勤務形態です。

しかし、適切な手続き(=宿日直許可申請)を取っていない施設も散見されます。


本記事では、医療業界に特化した社会保険労務士が、宿日直許可の基本から、労基署申請・運用の注意点まで解説します。




✅  宿日直とは?通常の勤務や夜勤とどう違う?


  • 宿直勤務

    夜間、施設に常駐するし、緊急事態などに備える勤務(例:当直医、当直看護師、夜間救急対応)


  • 日直勤務

    休日の日中、緊急対応や電話受付を目的に勤務すること(例:休日の外来当番)


これらは、「通常の労働」とは異なる軽度の業務を前提とするため、宿日直許可申請をすれば条件付きで労働時間とみなさないことが認められています。


  • 夜勤:夜間帯に通常の勤務をすること


※夜勤と宿直は全くの別物です!!



✅ 宿日直許可とは?なぜ必要なのか


◾ 労基法の原則


労働基準法では、夜間の見回りや待機だけでも、

→「労働」とみなされ、最低賃金や割増賃金の支払いが必要です。



◾ 許可を得るとどうなる?


労働基準監督署に申請して**「宿日直許可」が下りると**、

→ 当該勤務を「労働時間に含めない」ことが可能になり、 最低賃金や割増賃金の対象外となります。



✅ 宿日直許可の主な条件(※厚労省通知より)


  • 宿直・日直業務が軽度かつ断続的であること


  • 通常の業務と異なり、緊急時対応などが主目的であること


  • 宿直室など休息・仮眠がとれる設備が整っていること


  • 業務内容・勤務頻度が就業規則に明記されていること



※看護師・医師などは、内容によって「労働」とみなされる業務が含まれるため、ケースごとの検討が必須です。


基本的に頻繁にトラブルや呼出が発生するような業務は対象外となります。




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✅ 医療機関で起こりやすいトラブル事例



  • 宿直許可を取らずに「当直手当だけ」で済ませていた

     → 労基署の調査で是正勧告・未払い賃金の請求に


  • 実態が「通常の勤務」とみなされ、許可が取り消された

     → 病棟の看護師が夜間も常に業務していた


  • パート職員に宿直を任せていたが、就業規則に記載がなかった

     → 「無許可・違法な勤務形態」とされる可能性



✅ 宿日直許可の申請手順(概要)


  1. 宿日直勤務の業務内容・時間帯を整理


  2. 就業規則に該当勤務の条項があるか確認・整備


  3. 所轄の労働基準監督署へ申請書提出

     (「宿日直許可申請書」+「勤務体制図」など添付)


  4. 審査後、許可が下りた場合は正式に運用開始


  5. 定期的に運用実態が要件に合っているか確認







✅ 宿日直許可申請の内容


  • 事業場の基本情報

  • 宿日直を担う労働者の総数

  • 1回の宿日直員数

  • 宿日直勤務の開始・終了時刻

  • 1人あたりの宿日直回数(月1回など)

  • 宿直手当の金額

  • 就寝設備の内容(宿直のみ)

  • 勤務の態様

断続的な宿直又は日直勤務許可申請書の記入例のサムネイル画像
出典:断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について(厚生労働省)

添付書類


  • 断続的な宿直又は日直勤務許可申請書

  • 対象労働者の労働の態様が分かる資料(所定労働時間内におけるタイムスケジュール等)

  • 就業規則の該当部分

  • 支払われるべき宿日直手当の最低額が分かる資料

  • 勤務数が分かる資料

  • 睡眠設備の概要が分かる資料



✅ 書き方のコツと注意点


  • 「労働ではない」ことを強調(業務内容が軽い、頻度が低いなど)

  • 記録に残る資料を整備(実際の勤務と申請内容に乖離があると指摘される)

  • 事業場単位で申請が必要(法人単位ではない)








✅ 宿日直手当


宿日直業務に対しては、通常の賃金ではなく宿日直手当を支給します。

ただし、手当の金額には定めがあり、同事業場で宿日直業務を行う労働者1人あたりの1日平均賃金の3分の1以上を支給する必要があります。


以下の式で計算して、宿日直手当が基準以上であるかを確認しましょう。


宿日直手当の最低額 = 宿直勤務総員数の1ヶ月所定内賃金額合計 ÷(1ヶ月所定労働日数 × 宿日直勤務総員数 × 3)







✅ 社労士からのアドバイス:放置はNG!


宿日直許可は「取っていなくても黙認されてきた…」というケースが医療現場では多いですが、

監督署の調査・労務トラブルが起きたとき、一気にリスクが顕在化します。


また、看護師、介護職、医師、宿直警備員などは、職種ごとに許可の要否や条件が異なります。




✅ 無料診断受付中!宿日直勤務の見直しをサポート



当事務所では、医療業界に特化した宿日直勤務の合法化・適正運用の支援を行っています。


  • 実態に合った許可申請の代行

  • 就業規則の整備

  • 勤務シフトの見直しなど、実務に即した対応が可能です。





✅ まとめ


宿日直許可が必要な理由

労基法上の扱い

勤務時間=労働時間(許可なしでは残業扱い)

宿日直許可があると

労働時間外として扱える(割増・最低賃金の適用除外)

申請先

所轄の労働基準監督署

医療現場の注意点

業務内容や勤務実態が基準に合致している必要あり


 
 

MSL社会保険労務士事務所

〒243-0201 神奈川県厚木市上荻野2274-3

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