歯科衛生士によるクリーニングの指名料の導入について社労士が解説!
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉
- 3 日前
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📕目次
歯科衛生士によるクリーニングに「指名料」を導入することは、患者満足度の向上やスタッフのモチベーション維持に寄与する可能性があります。しかし、導入に際しては慎重な検討が必要です。以下に、指名料導入のメリットとデメリットを整理し、導入時のポイントを社労士が解説します。
✅ 指名料導入のメリット
1. 患者満足度の向上
患者が特定の歯科衛生士を指名できることで、信頼関係が深まり、安心感や満足度が向上します。特に予防歯科やメンテナンスにおいて、担当者との継続的な関係は治療の質にも影響します。
2. スタッフのモチベーション向上
指名されることで、歯科衛生士は自分の技術や接遇が評価されていると感じ、業務への意欲が高まります。また、指名料の一部をインセンティブとして還元することで、さらなるモチベーションアップが期待できます。
3. 収益の増加
指名料を設定することで、追加の収益源となります。特に人気のあるスタッフへの指名が増えれば、全体の売上向上にもつながります。
⚠️ 指名料導入のデメリット
1. 料金体系の複雑化
指名料を導入することで、料金体系が複雑になり、患者にとって分かりづらくなる可能性があります。料金の内訳を明確にし、患者に丁寧に説明することが重要です。
2. スタッフ間の不公平感
指名されるスタッフとそうでないスタッフとの間で、不公平感が生じる可能性があります。スタッフ全体のスキルアップや評価制度の見直しなど、公平性を保つ取り組みが求められます。
3. 患者の負担増
指名料が加算されることで、患者の負担が増える可能性があります。料金設定は市場価格や患者の受容性を考慮し、適切な価格帯を設定することが必要です。場合によっては患者には請求しないことも検討すべきです。
✅ 導入時のポイント
1. 料金設定の明確化:指名料の金額や適用条件を明確にし、患者に分かりやすく提示しましょう。
2. スタッフ教育の充実:全スタッフの技術や接遇スキルを向上させ、指名が偏らないように努めましょう。
3. 患者への丁寧な説明:指名制度の目的やメリットを患者に丁寧に説明し、理解と納得を得ることが重要です。
4. フィードバックの活用:導入後は、患者やスタッフからのフィードバックを収集し、制度の改善に活かしましょう。

✅ 指名料導入における労務管理上の留意点
1. 就業規則や賃金規程への明記
指名料をスタッフに還元する場合、その支給基準や方法を就業規則や賃金規程に明確に記載する必要があります。これにより、労使間のトラブルを未然に防ぐことができます。
2. 公平な評価制度の構築
指名が特定のスタッフに偏ると、他のスタッフとの間で不公平感が生じる可能性があります。全スタッフが平等に評価される仕組みを整えることが重要です。
3. 労働時間と報酬のバランス
指名料の導入により、特定のスタッフの労働時間が増加する場合、労働基準法に基づく適切な労働時間管理と報酬の支払いが求められます。
⚠️ 法令遵守の観点からの注意点
1. 診療報酬制度との整合性
保険診療においては、診療報酬制度に基づく料金設定が求められます。指名料が保険診療と併用される場合、その適法性について慎重な検討が必要です。
2. 消費税の取り扱い
指名料が自由診療に該当する場合、消費税の課税対象となる可能性があります。適切な税務処理を行うため、税理士など専門家への相談が推奨されます。
✅ 導入時の具体的な対応策
1. 制度設計の明確化:指名料の目的や運用方法を明確にし、スタッフ全員に周知徹底します。
2. スタッフ教育の実施:指名制度の導入に伴い、スタッフへの教育や研修を行い、制度への理解を深めます。
3. 患者への丁寧な説明:患者に対して、指名料の趣旨や料金について丁寧に説明し、納得を得ることが重要です。
4. 専門家への相談:制度導入に際しては、社労士や税理士などの専門家に相談し、法令遵守と適切な運用を確保します。
指名料の導入は、患者満足度の向上やスタッフのモチベーション維持に寄与する可能性がありますが、労務管理や法令遵守の観点から慎重な対応が求められます。制度設計や運用に際しては、専門家の助言を得ながら、適切な対応を行うことが重要です。
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