医療機関の就業規則は一般企業と何が違う?~病院・クリニックのための就業規則整備のポイント~
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉
- 5月5日
- 読了時間: 4分
更新日:6 日前

✅ 目次
✅ はじめに
医療機関における労務管理は、24時間体制・複数職種・急な人員変動など、一般企業とは異なる複雑さを抱えています。そんな中、就業規則はスタッフの働き方のルールを定め、トラブル防止・人材定着のための重要な土台となります。
医療機関に特化した社会保険労務士の視点から、就業規則作成・見直しのポイントを解説します。
✅ 医療機関の就業規則、ここが違う!
(1)夜勤・交代勤務の明確化
医師、薬剤師、看護師、准看護師、看護助手など、交代制勤務を前提とした職種には、シフト作成のルールや夜勤手当の支給基準を具体的に記載する必要があります。あいまいな規定は残業代請求や労使トラブルの原因になります。
また、夜勤等がある場合、ほとんどの施設では変形労働時間制の導入が必要となります。
変形労働時間制については下記記事をご参照ください。
↓↓↓
(2)医療事故・患者対応時の行動規範
医療現場特有のリスクとして、インシデント・アクシデント発生時の報告義務や対応フローを就業規則や別添マニュアルに明記しておくことが求められます。
(3)職種ごとのルール設定
医師、薬剤師、看護師、准看護師、看護助手など、職種ごとに業務内容や責任範囲が異なるため、就業規則も画一的ではなく、運用マニュアルと連動させる工夫が重要です。

✅ よくある就業規則の不備とそのリスク
(1)試用期間について
試用期間内はいつでも解雇できると考えておられる方も一定数いらっしゃいますが、そうではありません。入職後14日以内であれば、解雇予告や解雇予告手当を支払う必要がなく、即日解雇が可能です。しかし、これはあくまで手続き上の話であり、正当な理由なく解雇すれば不当解雇となり、解雇の有効性が認められない可能性が高いです。
解雇は今の時代かなりハードルが高いため、慎重に検討してください。
(2)残業の定義が不明確
所定労働時間を超えた場合、割増賃金を支払う義務があり、曖昧な表現は違法とされる可能性があります。
(3)ハラスメント防止規定がない
セクハラ・パワハラなどの対応ルールがない場合は指導対象に、、、
→ 防止のための基本方針、相談窓口、調査・懲戒の流れまで記載しておくことが推奨されます。
(4)休職制度・復職ルールの欠如
うつ病などで長期休職 → 復職ルールがなくトラブルに
→ 休職期間・診断書の提出・復職の可否判断方法などを定めておくと、復職時の混乱を避けられます。
(5)パート・有期職員への規程が未整備
正社員規程しか存在しない → 同一労働同一賃金の観点で問題に
→ 短時間職員や契約職員にも適用されるルール(昇給・賞与・休暇等)を整備しておく必要があります。
※最低限必要な規程は以下のとおりです。
・就業規則
・パートタイマー就業規則
・賃金規程
・育児・介護休業規程
・再雇用規程
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✅ まとめ
病院・クリニックにとって、就業規則は単なる形式的な書類ではなく、組織を安定させる「経営のルールブック」です。トラブルが起きる前の“予防策”として、労使双方のため、今こそ見直しを検討してみてください。
社会保険労務士 綱島 渉

経歴
1989年 神奈川県生まれ
2013年 明治大学 理工学部 応用化学科 卒業
2013年 医療業界 人事部 入社
2023年 MSL社会保険労務士事務所 開業
約10年医療業界の人事部にて採用活動、人材定着プラン作成、労務トラブルの解決、就業規則の作成、労働、社会保険の手続き、給与計算業務に従事しておりました。
また、管理職も経験させていただきました。今まで、培った経験、専門知識、若さを活かし、お客様を全力でサポートさせていただきます。