🧾 社会保険料・雇用保険料の控除ミスが発覚したら?社労士が教える正しい対処法と注意点
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉
- 4月25日
- 読了時間: 3分
更新日:4月26日

💡 こんなミス、ありませんか?
• 「健康保険料を1ヶ月多く引いていた」
• 「雇用保険の控除率を間違えていた」
• 「扶養変更後の保険料が反映されていなかった」
給与明細を確認して気づく方もいれば、従業員から指摘されて発覚するケースもあります。
では、そのときどう対応するのが正解なのでしょうか?
✅ まず確認すべき基本情報
1. 何月分の保険料なのか?
2. 過剰控除 or 控除漏れ のどちらか?
3. 手続き自体(取得・喪失・変更)は正しく行われていたか?
4. 給与システムの反映状況は?
📌 ミス別の対応方法
✅ ① 社会保険料(健康保険・厚生年金)を多く控除してしまった場合
▶ 対応方法:
• 過剰分を速やかに返金することが原則
• 給与明細の訂正と返金記録を残す
※現実的には翌月給与での調整が多いです
⚠ 注意:
• 社会保険料は事業主が「立替納付」している性質上、返金を怠ると信頼問題に発展
✅ ② 社会保険料を少なく控除していた/控除し忘れた場合
▶ 対応方法:
• 原則、本人の同意を得た上で、次回以降の給与から差額を控除(分割でも可)
• 未納が発生していないか、年金事務所や電子申請履歴も確認
給与ソフトで差額控除、返金する場合は必ず健康保険料、厚生年金保険料に入力すること!!その他控除などで調整した場合、所得税が正確に計算されません。
✅ ③ 雇用保険料の控除額を間違えた場合
▶ よくある間違い:
• 控除率(2025年4月時点:0.6%)を前年のまま使っていた
• 賞与への控除忘れ
▶ 対応方法:
• 多く引いていた → 差額を返金or次回給与で調整
• 少なかった → 本人の同意を得て次回控除、または立替納付処理
🛠 実務上のポイント
項目 | ポイント |
訂正内容 | 明細・台帳の修正履歴を残す |
給与差額 | 次回支払いと相殺する方法が一般的 |
本人同意 | 不足分を後から控除する際は必ず同意を得ること |
電子申請 | e-Gov等で行った社会保険の取得・喪失手続きも確認対象 |
📉 放置するとどうなる?
• 未納 → 年金機構・ハローワークから通知/延滞金
• 過大控除 → 労働者からの信頼低下/労基署指導
• 税額調整ミス → 源泉徴収票や年末調整に影響が出る場合も
🔁 ミスを防ぐには?
✅ ダブルチェック体制の構築
→ 給与確定前の社内チェックリスト活用
✅ クラウド給与計算ソフトの導入
→ 自動計算・更新反映ミスを防ぐ
✅ 社労士との顧問契約
→ 定期チェックや法改正対応をプロに任せてミスを最小限に
👨⚖️ 社労士からのひとこと
保険料の控除ミスは金額が小さくても、「会社の信頼性」に直結する問題です。
「次から気をつけよう」では済まされないケースもあるため、
初期対応のスピードと丁寧さが鍵です。