社労士が解説!退職時の社会保険・雇用保険の実務チェックリスト
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉
- 5月26日
- 読了時間: 3分
更新日:6 日前

退職者が出たとき、企業側は速やかに各種の手続きを行わなければなりません。社会保険や雇用保険の喪失手続き、離職票の発行、住民税の一括徴収、普通徴収など、複数の実務が短期間で重なるため、対応に漏れがあると、元従業員からの問い合わせやハローワーク・年金事務所からの指摘につながります。
今回は、**社労士が実務の現場で使っている「退職時チェックリスト」**をもとに、抜け漏れのない退職手続きを解説します。
✅ 目次
✅ 退職日までの準備
退職届・退職願の確認(書面管理)
最終出勤日・有休消化のスケジュール調整
貸与物(制服、PC、社用スマホなど)の確認
業務の引き継ぎ
退職金の計算
※出勤最終日と退職日が異なる場合、有給休暇の扱いに注意が必要です。
✅ 社会保険の資格喪失手続き
退職日の翌日をもって、健康保険・厚生年金の資格喪失となります。
健康保険・厚生年金保険資格喪失届を資格喪失日の翌日から5日以内に年金事務所へ提出(e-govも可)
健康保険証の回収(本人・家族分も)→保険証は全国健康保険協会または健康保険組合へ返却
健康保険の任意継続の案内(希望者がいる場合)
✅ 雇用保険の資格喪失・離職票の作成
被保険者でなくなった日の翌日(退職日の翌々日)から10日以内に「雇用保険被保険者資格喪失届」、「雇用保険被保険者離職証明書」を提出します。
雇用保険被保険者資格喪失届
雇用保険被保険者離職証明書(退職理由の扱いに注意)
被保険者証の返却確認
※59歳未満の方で離職票の交付を不要としている場合は発行しなくても問題ありません。ただし、59歳以上は必ず発行しなければなりません。
✅ 最終給与・有給休暇精算・住民税の扱い
有休未消化分の買取(退職時は例外的にOK)
最終給与への控除・賞与の扱い
住民税の清算(普通徴収 or 一括徴収)
※退職日が1月1日から4月30日までの場合は原則一括徴収をしなければなりません。
住民税の徴収方法についてのコラムは↓↓
有給休暇の買取についてのコラムは↓↓

✅ 退職後の証明書対応とフォロー
離職票1、2・源泉徴収票、給与明細の送付
雇用保険被保険者証の返却(再就職に必要)
退職金の支給
健康保険資格喪失証明書発行(希望があれば)
※健康保険資格喪失証明書については国民健康保険の加入に必要となります。
✅ 医療・介護業界での注意点
常勤換算に影響が出る可能性があるため、配置計画の見直しを早めに
宿直・夜勤手当などの計算ミスが退職時に発覚しやすい
処遇改善加算の人員基準を下回らないよう確認
病院、クリニック、歯科医院など医療業に強い社労士事務所は
MSL社会保険労務士事務所
社会保険労務士 綱島 渉

経歴
1989年 神奈川県生まれ
2013年 明治大学 理工学部 応用化学科 卒業
2013年 医療業界 人事部 入社
2023年 MSL社会保険労務士事務所 開業
約10年医療業界の人事部にて採用活動、人材定着プラン作成、労務トラブルの解決、就業規則の作成、労働、社会保険の手続き、給与計算業務に従事しておりました。
また、管理職も経験させていただきました。今まで、培った経験、専門知識、若さを活かし、お客様を全力でサポートさせていただきます。